2024年12月22日日曜日

サイクルツーリズム事例:しまなみ海道サイクリング

(1)しまなみ海道サイクリングについて

 しまなみ海道(西瀬戸自動車道)は、本州四国連絡橋3ルートの中で、唯一自転車歩行者が併設されている自動車道(一般国道317号)で、総延長59.4km。広島県尾道市~愛媛県今治市までの6島を7橋で結ぶ。7橋の内6橋に自転車歩行者道が整備され、各島の周回道路と併せて総延長70kmのサイクリングロードとなっている。2014年7月には自転車通行料の無料化(令和8年3月末まで暫定)が実現し、更に多くのサイクリストが訪れている。

図1 しまなみ海道のマップ
(出所:尾道市観光課説明資料)

(2)尾道市のサイクリングに関する取り組み
1)レンタサイクル事業
1999年5月に瀬戸内自動車道「瀬戸内しまなみ海道」が全線供用開始した時に、開通記念イベントの一環としてレンタサイクル636台を有するレンタサイクルターミナルが設置された。
市内に6箇所のターミナルがあり、小径スポーツ車、クロスバイク、シティサイクル、軽快車、タンデム自転車、電動アシスト自転車を貸出している。
観光客のサイクリングロード利用として、自身の自転車を持ち込むパターンと、レンタサイクル利用のパターンがあるがレンタサイクル利用者は年々増加している。(図2)
図2 しまなみ海道レンタサイクル利用実績(平成11年~27年度)
※平成27年度は12月までの実績
(出所:尾道市観光課説明資料)

 2)しまなみサイクルオアシス事業
 しまなみを訪れたサイクリング客が気軽に立ち寄り休憩や地域の人々との交流が図れる「おもてなし」の場所として「しまなみサイクルオアシス」を地域住民の協力を得て整備した。
 整備対象・内容は、尾道市内に所在する、企業、商店、レストラン、宿泊施設、土産物店、ガソリンスタンド等を対象として、軒先や庭先、駐車場等をサイクリング客向けの休憩所として開放できる協力者を募集し、書類選考・現地調査等により「しまなみサイクルオアシス」として選定し、器材(表1)の中から、貸与する器材の種類、数量や空間デザイン等を協力者と個別に協議したうえで無償貸与する。

表1 サイクルオアシスに貸与する器具

サイクルオアシスのシンボルタペストリー

自転車スタンド 

サイクリング車用空気入れ

必要なパンフレット等の印刷物


 応募要件として、軒先・庭先・駐車場等の一角(10㎡程度以上)をサイクリング客の休憩場所として無償で開放できるもの、サイクリング客に対して市から貸与を受けた器材を無償で積極的に活用・提供できるもの、サイクリング客の要望に応じて飲み水(水道水等)を提供できるもの、サイクリング客のトイレの借用を了解できるものがある。

3)しまなみ島走レスキュー事業

 しまなみを訪れたサイクリストが怪我や自転車の故障等により島内で立ち往生した際の救援システムを構築し、しまなみの隅々まで安心して周遊できる環境を整備した。

 役割として、タクシー会社がサイクリストや故障自転車をサイクリストからの連絡により通常のタクシー料金で運搬し、自転車店はサイクリストやタクシー会社からの連絡により故障自転車を修理し、

尾道市はシステムの構築及び必要な器材(自転車積載キャリー等)の貸与並びに県内外へのPRを行う。現在、タクシー会社7社、自転車店10店舗が同事業に登録している。

 4)しまなみ自転車の宿
 同事業は、サイクリストの聖地“瀬戸内しまなみ海道”を訪れるサイクリスト宿泊客の増加を図るため、自転車の安全な保管や自転車荷受け・発送取次ぎの有無など、サイクリストが宿泊施設を選択する際に重視すると思われる項目を調査・整理し、「しまなみ自転車旅の宿」として、HPやチラシなどで広く情報を発信することを目的として行っている。尾道市内を所在地とする宿泊施設が対象となっており、2014年11月現在で34施設が登録している。


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