全国の自治体においては国の自転車活用推進計画を受けて自治体ごとの計画の設置が進められている。ここでは特にサイクルツーリズムの拠点として注目される「しまなみ海道サイクリング」に関わる自治体として広島県、尾道市、愛媛県、今治市を、「ビワイチサイクリング」に関わる自治体として滋賀県および守山市を取り上げる。
まず、しまなみ海道サイクリング関連自治体の自転車活用に関する計画として、広島県では、身近な移動手段である自転車の利用促進を更に図るために、自転車の走行環境を整えるまちづくり、スポーツと健康の増進における自転車活用、サイクルツーリズムの推進、及び自転車の交通安全等について、県の関係計画を基に総合的に推進し、豊かで活力ある地域づくりに向けて取り組むため、広島県自転車活用推進計画を策定した。
表1.広島県自転車活用推進計画の概要
出典:広島県[2019]広島県自転車活用推進計画より筆者作成
次に、尾道市では、平成30年度に策定された「広島県自転車活用推進計画」を基本とした尾道市自転車活用推進計画を策定した(表2)。同市においては、平成11年の瀬戸内しまなみ海道の開通に合わせ、レンタサイクルの運営を開始し、サイクリストの誘客を図ってきた。そして平成24年には台日交流のサイクリングイベントが実施され、現在では、国内外から多くのサイクリストが訪れるようになった。そのような中で、自転車を取り巻く「まちづくり」「スポーツ・健康」「観光」「交通安全」の面から現状や課題を整理し、目標設定したうえで取組みを実施・見直しすることで、自転車のさらなる活用推進を目指している。
表2.尾道市自転車活用推進計画の概要
出典:尾道市公式サイトhttp://www.city.onomichi.hiroshima.jp/(2018年4月1日閲覧)より筆者作成 次に愛媛県では、自転車活用推進法(平成28年法律第113号)第10条の規定に基づく都道府県自転車活用推進計画として、自転車新文化の更なる拡大・深化に向けて、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進するため、平成31年3月に愛媛県自転車新文化推進計画を策定した。計画期間は令和元年度(2019年度)から令和4年度(2022年度)までの4年間で、5つの目標を設定し各種施策に取組む。なお、令和3年(2021年)3月に、社会情勢の変化等を踏まえ、中間見直しを行い、一部改定を実施した。
次に、今治市だが、同市においても国が定めた計画の実現に必要な地方自治体の役割を明らかにし、地方における総合的かつ計画的な施策の実施により、自転車活用推進計画の実現を図るため、法第11条の規定に基づき「今治市サイクルシティ推進計画」を策定した。計画の実行により、市民、事業者及び行政が協働して自転車の活用推進に努め、交通ルール遵守・マナー向上などによる、誰もが安全に安心して自転車を利用できる環境を整えるとともに、しまなみ海道を核としたサイクリング環境のグローバル化による地域の活性化を図り、もって日本における自転車を活用したフロントランナーとしてのまちづくりを推進し、「サイクルシティIMABARI」の実現を目指している。
次に、ビワイチサイクリング(琵琶湖一周サイクリング)関連自治体の自転車活用に関する計画についてである。滋賀県では、これまでの同県独自の取組や「滋賀県自転車の安全で適正な利用促進に関する条例」、「ビワイチ推進総合ビジョン」(70)等を踏まえつつ、国・関係地方公共団体をはじめ住民や関係団体など多様な主体から幅広い意見を踏まえ、滋賀県自転車活用推進計画を策定した(表3)。
表3.滋賀県自転車活用推進計画の概要
出典:滋賀県自転車活用推進計画[2019]より筆者作成
次に、守山市は、同市の幅広い自転車関連施策を一体的に進め、「健康・環境」、「安全・安心」、「道路・交通整備」、「観光・地域経済の振興」、さらには、新型コロナウイルス感染症を想定した「新しい生活様式」の実現を目的に、自転車の活用を総合的・計画的に推進していくため、守山市自転車活用推進計画を策定した。
表4.守山市自転車活用推進計画の概要
出典:守山市自転車活用推進計画[2021]より筆者作成
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