観光基本法第14条において、国が保護、育成及び開発すべき観光資源について、「私企業の採算において、適切な保護育成及び開発しうるものについては国の施策を要しないし、破壊されても、原状回復の容易になしうるものや、ほかのもので十分に代替しうるものを保護する必要はない」と、国が関与する観光資源を限定している。
現在、日本の法律で指定されている観光対象となる資源をまとめたのが表1である。この表にみるように、実際に観光以外の目的から保護されている資源が、同時に観光資源であるという性格を有している場合が多い。しかし、それらが必ずしも観光資源として保護を図っているものではないだけに、観光資源に関する施策の複雑さが生じる。現在、貴重な自然は環境省管轄の自然公園法と温泉法、文化財は文化庁管轄の文化財保護法によって指定され、それら保護のもとに一定の利用がされている。世界遺産となると、文化庁を通してユネスコ世界遺産委員会に申請をして、登録の採択が決定される。
表1 国が保護する主な自然資源・文化資源
出典:溝尾 良隆[2009]『観光学全集〈第1巻〉観光学の基礎 (観光学全集 第 1巻)』原書房,p47より筆者作成
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