竹内ら(2018)は自然と文化の複合である複合型観光資源の役割が現代観光において高まっていることも指摘している。例えばフランスの田園風景、郷土景観としての津和野や歴史景観としての妻籠宿は、個々の要素はそれほどの価値があるとはいえないが、全体として一つのまとまりを見せる時、観光対象として極めて強力な誘引力をもつといわれる。
また、複合型資源を維持するためには、構成要素を個々に保存するよりも、地域全体を全面的に保存対象とする考え方が有効である、と述べている。観光資源については、ストーリー性やテーマ性の設定の重要性が度々指摘されているが、特に複合型資源では、個々の構成要素を結びつけ、一つのまとまりを形成するために必要となる、と述べている。
複合型観光資源を対象にする事業には、地域やその文化が大きく関係する。例えば、地域の観光まちづくりや、祭りを通じた集客、リゾート事業である。わが国では、歴史的な風洞景観・歴史景観の指定・保存が推進されつつあり、こうした傾向は複合型観光資源としての認識に基づくものであるといえる。
引用参考文献
竹内正人他[2018]『入門 観光学』ミネルヴァ書房
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