2024年10月27日日曜日

15.シェアサイクルを取り巻く環境

  シェアサイクルとは、相互利用可能な複数のサイクルポートが設置された、面的な都市交通に供されるシステムである(1)。 シェアサイクルは多くの国で導入されている(表1)。日本は中国、米国に続き多くの都市でシェアサイクルが導入されている。

表1.シェアサイクルの国内外における導入状況(2019年12月末時点)

出典:「World Bike Sharing map」より筆者作成

 シェアサイクルは、海外においては1965年オランダ・アムステルダムで初めて導入された。コペンハーゲンでは硬貨のデポジットでラックを開錠・施錠するポート型のシステムが導入されたがアムステルダム同様に盗難や破壊の問題が起こった。2016年に中国においてスマートフォンによる認証で、どこでも乗り捨てが自由なポートレス型シェアサイクルが急速に増加した。世界各地に拡大し、自転車の放置や無秩序な駐輪、投棄等が社会問題となった。2017年以降、ポートレス型に対する規制が各国で導入され、規制に対応できない不適格事業者や破壊などに苦しむ事業者が各都市から撤退していった。

表2.シェアサイクルの変遷(海外)

出典:国土交通省[2020] シェアサイクルの在り方検討委員会 第1回 資料より筆者作成

 次に、日本においては1980年から公共が主導するシェアサイクルに関する社会実験がスタートした。2005年以降世田谷区においてレンタサイクルの一部を拡充して導入され全国の各都市で社会実験が導入された。2012年には江東区でコミュニティサイクルの実証実験がスタートし、2016年に千代田区・中央区・港区・江東区で区域を越えて相互乗り入れができる「広域相互利用」がスタートした。

表3.シェアサイクルの変遷(国内)









出典:国土交通省[2020] シェアサイクルの在り方検討委員会 第1回 資料より筆者作成

 次に、シェアサイクルの課題は、以下の3つがある。

 まず、シェアサイクルの公共的な交通としての位置付け、採算性に関する課題がある。例えば、シェアサイクルの公共的な交通としての位置づけや社会秩序への影響、運営事業者の撤退による影響、シェアサイクルサービス提供エリアにおける自転車通行空間、採算性などがある。また、サイクルポートの設置、案内に関する課題として、運営規模・ポート密度についてや、公共用地等へのポート設置、サイクルポートの設置場所及びポートへの案内などがある。最後に利用者の利便性に関する課題だが、都市・事業主体毎に構築・運用されるシステムに関してや、その他利用環境上の課題(交通系ICカード利用など)がある(2)


注釈

(1)国土交通省都市局による地方公共団体に対する調査

(2)国土交通省[2020] シェアサイクルの在り方検討委員会


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