2024年10月25日金曜日

8.自転車活用推進法

 自転車は環境に優しい交通手段であり、災害時の移動・輸送や国民の健康の増進、交通の混雑の緩和等に資するものであることから、環境、交通、健康増進等が重要な課題となっている我が国においては、自転車の活用の推進に関する施策の充実が一層重要となっている。

 このため、2017年5月1日に自転車活用推進法(平28法113)(表1)が施行され、自転車の活用について、政府として総合的・計画的に推進するため、国土交通省に大臣を本部長とする自転車活用推進本部が設置された。

 同法においては基本理念として,自転車の活用の推進が、公共の利益の増進に資するものであるという基本的認識の下、交通体系における自転車による交通の役割を拡大することを旨として行うとともに,交通の安全の確保を図りつつ行われなければならないとされている。また、自転車専用道路、自転車専用車両通行帯等の整備をはじめとする14の項目を基本方針として示し、重点的に検討・実施すべきとされている。

表1.自転車活用推進法の概要

基本理念

・自転車は、二酸化炭素等を発生せず、災害時において機動的
・自動車依存の低減により、健康増進・交通混雑の緩和等、経済的・社会的な効果
・交通体系における自転車による交通の役割の拡大
・交通安全の確保

国などの責務

・国      :自転車の活用を総合的・計画的に推進
・地方公共団体 :国と適切に役割分担し、実情に応じた施策を実施
・公共交通事業者:自転車と公共交通機関との連携等に努める
・国民     :国・地方公共団体の自転車活用推進施策への協力

基本方針

①自転車専用道路等の整備          ②路外駐車場の整備等
③シェアサイクル施設の整備         ④自転車競技施設の整備
⑤高い安全性を備えた自転車の供給体制整備  ⑥自転車安全に寄与する人材の育成等
⑦情報通信技術等の活用による管理の適正化  ⑧交通安全に係わる教育及び啓発
⑨国民の健康の保持増進           ⑩青少年の体力の向上
⑪公共交通機関との連携の促進        ⑫災害時の有効活用体制の整備
⑬自転車を活用した国際交流の促進      ⑭観光来訪の促進、地域活性化の支援

出典:『自転車活用推進法』(2016)より筆者作成

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