2017年に策定された、スポーツ基本計画(スポーツ庁)において、スポーツツーリズムの推進について第3章の「今後5年間に総合的かつ計画的取り組むべき施策」において「2 スポーツを通じた活力があり絆の強い社会の実現」の一つとして位置づけられている(表1)。施策目標としてスポーツツーリズムの活性化とスポーツによるまちづくり・地域活性化の推進主体である地域スポーツコミッションの設立を促進することを上げ、そのため地方公共団体は国のスポーツツーリズムに係る消費者動向の調査・分析やスポーツコミッションの優良な活動事例の情報提供等を活用し、地域スポーツコミッションの設立支援や、海・山・川など地域独自の自然や環境等の資源とスポーツを融合したスポーツツーリズムの資源開発等の取組を持続的に推進する、としている。
表1.スポーツ基本計画におけるスポーツツーリズム
出典:スポーツ基本計画(2017年)
次に、2011年に、観光庁が主導するスポーツ・ツーリズム推進連絡会議は、国内でスポーツツーリズムを推進するための方針である「スポーツツーリズム推進基本方針」を策定した。同方針で、スポーツツーリズムを以下のように捉えている。『我が国には、プロ野球、Jリーグ、ラグビー、プロゴルフ、大相撲、柔道、体操、公営競技などの国際的に高い評価を受け、既に日本独自の文化となった「観る(観戦)」スポーツが存在する。そして、豊かな自然環境や美しい四季を利用した、スキー、ゴルフ、登山、サイクリング、海水浴、さらに今日では、全国各地の魅力的な都市・地域で開催されている市民マラソンなど、多くの国民が親しむ「する」スポーツが存在する。特に、地域の自然環境を活用したラフティングやトレッキングなどのアウトドアレジャー、海洋国ならではのマリンスポーツやダイビングなどのオーシャンスポーツ、また山岳国の強みを活かしたスキー、登山、ヒルクライム、パラグライダーなどのアウトドアスポーツは、我が国の観光振興において極めて高い潜在力を持っている。さらに、これらの「観る」スポーツや「する」スポーツを「支える」地域、団体・組織やスポーツボランティアが存在する。我が国はアジア有数のスポーツ先進国であり、スポーツを取り巻く環境は他のアジア諸国と比較して優位である。スポーツツーリズムとは、こうした日本の優位なスポーツ資源とツーリズムの融合である。』
さらに同方針では『スポーツツーリズムは、スポーツを「観る」「する」ための旅行そのものや周辺地域観光に加え、スポーツを「支える」人々との交流、あるいは生涯スポーツの観点からビジネスなどの多目的での旅行者に対し、旅行先の地域でも主体的にスポーツに親しむことのできる環境の整備、そしてMICE推進の要となる国際競技大会の招致・開催、合宿の招致も包含した、複合的でこれまでにない「豊かな旅行スタイルの創造」を目指すものである。』とも述べている。
次に、2017年に、観光庁は観光立国推進基本法に基づき、平成29年度~平成32年度(4年間)の新たな観光立国推進基本計画を策定した。スポーツツーリズムは、同計画の第3章「観光立国の実現に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策」の「1.国際競争力の高い魅力ある観光地域の形成」の(二)観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地域の形成 ⑥温泉その他文化、産業等に関する観光資源の保護、育成及び開発 で触れられている(表2)。
表2.観光立国推進基本計画におけるスポーツツーリズム
出典:観光立国推進基本計画(2017年)
次に、2014年に、政府は地方創生を目指し『まち・ひと・しごと創生本部』を設置した。
同本部の示した「長期ビジョン」および「総合戦略」では、同本部を設置した背景として国内で2008年に始まった人口減少は今後加速度的に進み、人口減少による消費・経済力の低下は日本の経済社会に対して大きな重荷となると、述べている。この背景を踏まえ、国民の希望を実現し人口減少に歯止めをかけ2060年に1億人程度の人口を確保する、まち・ひと・しごと創生は人口減少克服と地方創生をあわせて行うことにより将来にわたって活力ある日本社会を維持することを目指す、と述べている。今後の具体的な施策の方向性として、地方における安定した雇用を創出する、地方への新しいひとの流れをつくる、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、時代に合った地域をつくり安心な暮らしを守るとともに地域と地域を連携する、を掲げそれぞれに対し財政支援や人材育成などの具体的な施策を設けている。
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