2024年11月6日水曜日

3-2-4 自然ツーリズム

 菊地(2015)は、自然ツーリズムとは自然+ツーリズムであり、ここでいう自然とは人間の手の加わっていない山や川、草、木など原生な環境のみならず里山や都市の自然も含む。つまり、自然とは人間の手入れの有無よりも視覚的に生物(植物・動物・水・土)などを感じられる感覚的な存在である。と述べている。

 また、観光とツーリズムの違いについては[5-1-1ツーリズム・観光とは]で述べた。以上から自然観光とは自然をみるという行為に重きがおかれた用語である。他方、自然ツーリズムとは行為にこだわらず、自然を「感じられる地」を目的として移動し、その間に行われる一連の行為すべてを指す用語なのである。つまり、自然ツーリズムとは自然観光をも包含したより広い意味を持っている(図1)。


図1 自然ツーリズムの種類
出典:菊地 俊夫他著[2015]『自然ツーリズム学 (よくわかる観光学)』朝倉書店,p2より筆者作成

 菊地(2015)は、自然ツーリズムには多くの形態が含まれる、と述べている(表1)。
最近国内でもインバウンドを対象とした観光コンテンツとしても注目されているアドベンチャーツーリズムは、旅行者が地域独自の自然や地域のありのまま文化を、地域の方々とともに体験し、旅行者自身の自己変革・成長の実現を目的とする旅行形態である。 
 また、エコツーリズムとは、自然・歴史・文化など地域固有の資源を生かした観光を成立させること、観光によってそれらの資源が損なわれることがないよう、適切な管理に基づく保護・保全をはかること、地域資源の健全な存続による地域経済への波及効果が実現することをねらいとする、資源の保護+観光業の成立+地域振興の融合をめざす観光の考え方である。それにより、旅行者に魅力的な地域資源とのふれあいの機会が永続的に提供され、地域の暮らしが安定し、資源が守られていくことを目的としている。

表1 自然ツーリズムの主な形態
出典:菊地 俊夫他著[2015]『自然ツーリズム学 (よくわかる観光学)』朝倉書店,p3より筆者作成

0 件のコメント:

コメントを投稿

4-1-4 Bernd H. Schmittによる「経験価値」

  Bernd H. Schmitt(1998)は、エスセティクスマーケティングを「企業やブランドを通じて感覚的経験を顧客に提供し、組織やブランドのアイデンティティ形成を促進するマーケティング活動」と定義した。エスセティクスの語源はギリシャ語「感覚的に知覚される美学・審美観」で、...