2024年12月20日金曜日

4-1-9 サイクルツーリズムにおける地域資本と経験価値に関する考察

  まず、サイクルツーリズムにおける地域資本について、ロングライドのサイクルツーリズム(しまなみ海道サイクリング70km、ビワイチサイクリング200km)とガイド付きサイクリング(飛騨古川里山サイクリング)とでは、以下の特徴的な違いが見られた。

 一点目は、しまなみ海道サイクリングとビワイチサイクリングでは4つの資本に関して資本の量(項目、記述)が同じような特徴が見られた(人的資本約5項目、物的資本12項目、自然資本4項目、文化資本5項目)。二点目はロングライドのサイクルツーリズムはガイド付きサイクリングに比べて物的資本量(項目、記述)が3倍以上ある。三点目は、ガイド付きサイクリングはロングライドサイクリングに比べて文化資本の量(項目、記述)が2倍以上ある。

 一点目、二点目に関しては、ロングライドのサイクリングコースには、トイレ・ラック・ベンチ・空気入れ・工具・給水ができるようなサイクルオアシス(サイクルサポートステーション)が整備されており、ロングライドであるがゆえに宿泊できるような宿泊施設、レンタサイクル、自転車と一緒に移動できるタクシーやサイクルトレイン、船の整備、ブルーラインや無料マップ、有名自転車店が整備されている。このことは、しまなみ海道サイクリングおよびビワイチサイクリングのいずれも、サイクリングコースが所在する自治体を中心に民間も巻き込みながらサイクリングコースの充実やサイクルツーリストの集客を積極的に行っていることが要因と考えられる。三点目に関しては、ガイド付きサイクリングは飛騨古川エリアの里山をスロースピードで走行することやガイドが飛騨古川エリアの文化資本についてガイドしながら走行することから、ロングライドサイクリングに比べて文化資本に関する様々な景観や情報がサイクリストに入ることが要因と考えられる。

 次に、しまなみ海道サイクリング、飛騨古川里山サイクリング、ビワイチサイクリングを事例にサイクリングの経験価値について検討を行った。いずれのサイクリングも5つの経験価値が含まれていることがわかった。その中でもガイド付きのサイクリングであった飛騨古川里山サイクリングが突出し、経験価値に関する記述が多かった。これは他のサイクリングと違ってガイド付きであったかどうかという点による影響が大きいものと考えられる。したがって、飛騨古川里山サイクリングと同様に、しまなみ海道サイクリングやビワイチサイクリングにも「ガイド付き」のプログラムを組み入れることでサイクリングの経験価値を増やすことができると考えられる。

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